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静岡県三島市にある内科クリニックです。
標榜科:内科・循環器科・呼吸器科
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感染性腸炎とは?

 感染性腸炎とは、微生物が原因となって惹き起こされる腸管病変を主体とした疾患群の総称です。原因となる微生物には細菌、ウイルス、原虫、寄生虫などがあります。これらの微生物が腸の粘膜に入り込んだり、表面で毒素を産生することによって症状を起こします。


 感染経路には次のようなものがあります。

   ①食品や水を介するもの

   ②ヒトからヒトへ接触感染するもの

   ③ペットなどの動物から感染するもの


 原因となる微生物にある程度の傾向がみられます。

細菌性 サルモネラ・キャンピロバクターなど・・夏に多い
 サルモネラ・・食中毒で最も多い原因菌。加熱が不十分な鶏肉・生卵などから感染。
 キャンピロバクター・・食中毒の原因菌。
 腸炎ビブリオ・・食中毒の原因菌。
 病原性大腸菌群・・O-157が有名ですが、他にもいろいろな型があります。

【キャンピロバクター腸炎」は、ペットにご用心。鶏の生肉や、犬・猫・小鳥などのペットにいるキャンピロバクター菌に感染すると、「キャンピロバクター腸炎」を起こします。1日に何回も粘液の混じった、においのきつい下痢をし、ときには血便も認めます。】

【大腸菌は、家畜や健康な人の腸内にも存在し、ほとんどのものは無害ですが、このうちいくつかのものは、人に下痢を起こすことがあり、病原性大腸菌と呼ばれています。「病原性大腸菌O157」はこの病原性大腸菌の一種です。感染経路としては、この菌を保有する家畜あるいは保菌者の糞便中の菌により汚染された食品や水(井戸水等)による経口感染、人から人への感染、食品の不衛生な取扱いなどによるといわれています。O157は感染後4~8日の潜伏期の後、症状を引き起します。健常な成人では、感染しても症状がなかったり、単なる軽い下痢だけのことがほとんどですが、乳幼児、小児や高齢者の方では、重症となる場合もあるので、特に注意が必要です。症状としては、はじめは腹痛や水様性の下痢ですが、下痢は後に出血性となることもあります。まれに、溶血性尿毒症性症候群(尿の量が減り血尿や蛋白尿が出る、血液中の血小板の異常な減少、赤血球が急速に破壊されるために生ずる貧血の3つの症状を特徴とする重篤な疾患)を発症することがあります。】

ウイルス性 ノロウィルス、ロタウイルス・アデノウイルスなど・・・冬に多い

 

【ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生していますが、特に冬季に流行します。ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。ノロウイルスは感染力が強く、10〜100個という少量でも感染すると考えられています。健康な方は軽症で回復しますが、子どもやお年寄りなどでは重症化したり、吐ぶつを誤って気道に詰まらせて死亡することがあります。ノロウイルスについてはワクチンがなく、また、治療は輸液などの対症療法に限られます。】
【ロタウイルスは冬に流行し、白い水様便を特徴とします。】



症状と診断

  •  年齢や基礎疾患(糖尿病などの慢性疾患)の有無や各個人の感受性により、症状の軽重はありますが、発熱・腹痛・吐き気・嘔吐・下痢が主なものです。最初、だるい、頭痛といった感冒の症状から始まり、発熱・嘔吐・下痢が続くと、チアノーゼ(顔面蒼白)や頻脈、意識障害を起こすこともあり、特に乳幼児や高齢者では、脱水症状(皮膚の張りがなくなり、口唇の周りが乾くなど)に注意が必要です。検便や血液検査により、細菌の種類や、ある種のウイルス抗原の診断ができます。細菌性の時は発熱しやすいです。
     潜伏期間は原因により4時間程度から10日くらいと様々です。いずれも患者さんの便を介して経口感染します。一般に水様性の下痢ではウイルスによるものが多く、血便や膿性の下痢の場合には細菌性の下痢が疑われます。




予防の基本

  •  感染性腸炎は病原微生物によって汚れた手指との接触や食品や水の飲食により感染します。予防の基本は手洗い、食中毒に対する注意と病原体に対する抵抗力アップです。
     誰かが下痢をしていて、おむつを使っていたり、頻回にトイレ通いをしていれば、大量の病原体が便の中に排泄されています。家族の中にこのようなヒトがいて手洗いが十分でない場合には、他の家族に感染する危険が高いのです。よくみられるのは子どもが下痢していておむつを替えた母親に感染するケースや、寝たきりの高齢者が下痢をして介護をした家族に感染するケースです。ノロウイルスには アルコール(エタノール・イソプロパノール)では効果がなく、塩素系の消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム)が効果があるとされています。次亜塩素酸ナトリウムは食器や床、トイレなどの消毒には使用できますが、手指など人体に使用すると手荒れを引き起こす可能性がありますので、注意が必要です。
     食品や水を介する感染は食中毒に対する注意を守ることによって危険を少なくすることができます。「病原体を付けない、増やさない、殺す」が食中毒予防の三原則です。特に夏場は菌が増殖しやすいので、健康なヒトでも生肉や生魚などの生ものには注意しましょう。冬には気温が低いので食中毒がないと思いがちですが、冬には冬の食中毒があります。
     ペット動物や野生の動物との接触によって感染することもあります。特に子どもには日頃から手洗いの習慣をつけておきましょう。
     感染性腸炎は健康なヒトでもかかりますが、抵抗力が落ちていると病状が重くなったり、思わぬ合併症を併発する危険があります。こどもと高齢者、糖尿病や慢性肝炎のヒトも要注意です。このような人々はふだんから生ものに注意しましょう。重症化させないためには、日頃から偏食せず、バランスのよい食事と十分な睡眠をとり、病原体に対する抵抗力をつけてください。