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静岡県三島市にある内科クリニックです。
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尿酸って何?  

尿酸は「プリン代謝の最終産物」です。

プリン体は、細胞中の核酸の構成成分として存在しています。体内では常に細胞が新陳代謝を繰り返しています。細胞が死滅すると、核酸も分解されます。最終的にプリン体は尿酸という物質に分解されます。また、プリン体はアデノシン三リン酸ATPという、エネルギーを発生する物質の中にも存在します。ATPは身体活動のあらゆる場面で利用され、通常は再び元の状態に戻ります。しかし、無酸素運動をしたときなどは元に戻らずに尿酸に分解されます。

プリン体はさまざまな食物にも含まれており、摂取したあと体内で尿酸に分解されます。

 

高尿酸血症はなぜ起こる?

 尿酸値の上昇は、肝臓で尿酸を作りすぎる場合、腎臓から尿酸が排泄されにくくなる場合、あるいはその両方が原因となって起こります。作りすぎの原因は、細胞の新陳代謝が高まったとき、食物として体内に摂り入れるプリン体の量が多いときなどです。一方、腎臓の機能が低下すると、尿酸が排泄されにくくなります。尿酸値の上昇には、肥満との関連も報告されています。高尿酸血症は圧倒的に男性が多いという特徴があります。かつては50代に多かったのですが、最近ではピークが30代と若年化が進んでいます。生活習慣とは全く関係なく、遺伝的に尿酸値が高くなる方もいます。また、降圧利尿薬などの服用によって尿酸値が高くなることもあります。

尿酸値を上昇させる要因

  一時的な上昇・ 持続的な上昇・プリン体の摂取過多・遺伝的素因 アルコール飲用・ 肥満・ 激しい運動 ・ 飲酒習慣・ 脱水・腎機能低下・ストレス・ ホルモンの異常 薬剤(降圧利尿薬など)

高尿酸血症を放っておくと…

 高尿酸血症の治療をしないと、増加した尿酸が溶けきれずに(血清中で尿酸は7 mg/dL程度で飽和状態になる)関節などで結晶化し、痛風やさまざまな病気の原因になります。腎臓で結晶化すると尿路結石や腎障害を引き起こします。また、高尿酸血症の患者さんは高血圧症、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病を合併することが多く、動脈硬化が進行しやすくなります。

 痛風とは?

高尿酸血症を放置すると、尿酸の結晶が関節内に沈着し、異物として認識され白血球が貪食(細菌や異物を取り込んで排除する活動)します。尿酸結晶を貪食した白血球は、活性酸素やプロスタグランジンを放出し、毛細血管を拡張させます。これが発赤や腫れ、激しい痛みを伴う炎症を引き起こします。しかし尿酸結晶はどんなに攻撃されても分解もされず、白血球を内側から破壊します。その過程で乳酸が発生し、血液を酸性化させ、さらに尿酸が結晶化しやすくなる悪循環に陥ります。痛風発作は、足の親指の関節に起こることが多いです(最初の発作では7割)。発作が起こりやすいのは、尿酸値が急激に変動するか、生活環境に変化が生じたときです。突然発症し、治療をしなくても1〜2週間くらいで痛みは自然に治まります。しかし、放置しておくと数年のうちに再発し、だんだん慢性化することがあります。成人男性に圧倒的多く、女性は1/100程度です。また、痛風結節といわれる尿酸のかたまりが、耳や足の親指、肘の関節などにできることがあります。ここまで至るには、初回発作から時間がかかりますが、若くして発症した方や遺伝的素因のある方は、尿酸値も高く進行も早くなりがちです。現在、国内の痛風患者数は約60万、尿酸値が高い「無症候性高尿酸血症」の人は、約500万と推計されています。発作時には、鎮痛薬やコルヒチン(白血球の動きを抑える薬)などで治療します。患部を冷やすと多少痛みが抑えられます。注意したいことは、発作が治まっても、炎症が鎮まっただけで、尿酸値が下がったのではないということです。痛風発作の有無にかかわらず、合併症予防のため、高尿酸血症の治療継続が必要です。

 

  高尿酸血症の合併症 尿酸の結晶は他の臓器にも溜まります。

 

 腎機能障害:尿酸の結晶が腎臓に溜まり、腎機能が低下します。病気の進行とともに、尿酸を排泄する力も低下するため、ますます尿酸値が高くなるという悪循環に陥ります。腎機能が著しく低下すると、人工透析が必要になります。

 

  尿路結石:高尿酸血症の方は尿の酸性度が強いことが多く、尿酸は酸性で溶けにくいため、血液中だけではなく、尿中でも尿酸が結晶化しやすくなります。腎臓内や尿管・膀胱・尿道などで、尿中の尿酸結晶を核にして、他の物質が集まって尿路結石が形成されます。痛風の方に尿路結石ができる率は、痛風でない方の数百倍という報告があります。

 

  動脈硬化:高尿酸血症の方は、高血圧や脂質異常症、糖尿病・耐糖能障害を高頻度で合併しています。これらが複数に絡み合うことにより、動脈硬化が加速度的に進行し、心臓病や脳血管障害の危険性が高くなります。最近の研究では、高尿酸血症単独でも、心臓病や脳血管障害により死亡率が高くなると報告されています。

治療 食事療法

 ①総カロリーを制限する

 ②アルコールを控える

『1日400 mgを目安にしたプリン体の摂取制限』と推奨されています。 食事から摂取される    プリン体は体内で尿酸に代謝され、尿酸プールを増大させます。肉や魚介類を多く摂取すると痛風になりやすいことが知られています。プリン体は食品中では旨味の成分であり、核酸中に多く含まれます。そのため、細胞数の多いもの、細胞分裂の盛んな組織にプリン体が多くなっています。 プリン体を多く含む食品は、レバー類(200 mg/100 g以上)、エビ、イワシ、カツオ(200 mg/100 g以上)です。乾燥品である干椎茸や魚の干物は水分量が減っているため相対的に高い数字になります。近年、健康食品の中に多量のプリン体を含むものがありますので、これらの健康食品の服用には注意が必要です。

また、アルコール飲料は含まれるプリン体にアルコールの作用が加わり、尿酸値が上昇します。お酒を毎日飲む人は痛風の危険度が2倍で、特にビールを飲む人の危険度が高いと報告されています。蒸留酒にはプリン体はあまり含まれず、醸造酒の方が多いです。酒酔い通常のビールには1缶あたり25 mg/350 mL程度のプリン体が含まれます。スポーツドリンクや野菜ジュースなど砂糖や果糖が入ったドリンクも、量が多いと尿酸が上昇します。 尿酸は尿に溶けた状態で排泄されますが、中性~アルカリ性の尿には溶けやすい性質を持っています。野菜、海草、牛乳などのアルカリ性食品を食べるように心がけましょう。水分を多く摂ると尿の量が増え、尿とともに尿酸が排泄されやすくなります。腎機能の低下や心臓病などがなければ、1日尿量2リットル以上を目安に水やお茶を飲んでください。

③適度な運動を継続する  

運動は尿酸コントロールに重要です。ただし息が切れるほどのきつい無酸素運動では、エネルギーを出すATPが再生されず尿酸になってしまうため尿酸値が上がります。他の生活習慣病と同様に、歩行、ジョギング、自転車など有酸素運動が効果的です。が再生されず尿酸になってしまうため尿酸値が上がります。他の生活習慣病と同様に、歩行、ジョギング、自転車など有酸素運動が効果的です。

④薬物治療  

食事や運動に気をつけても尿酸値が十分に下がらない場合は薬で治療します。痛風発作がなくても尿酸値が8 mg/dL以上なら、痛風と合併症の予防のために薬物治療を開始します。  尿酸値を下げる薬は、尿酸の産生を抑える薬剤と排泄を促進する薬剤の2種類があります。尿酸コントロールの目標は、6 mg/dL以下目安にします。尿酸値を下げる薬を飲み始めてから発作がおこることもあります。尿酸値を下げる薬の服用を中断すると、痛風発作がひどくなる可能性があるので注意しましょう。